気候変動に対する都市部の脆弱性と備え

気候変動は都市部の公衆衛生に新たな課題をもたらしています。気候変動の進行により、人々の健康への影響も増幅すると予測されるからです。なかでも気候変動によって最大の打撃を被るのは、最も貧しく備えの整っていない国々に住む最もリスクにさらされやすい人口グループだと考えられます。傷害や生活習慣病から、食料、水、生物を媒介とする伝染病まで、都市の保健医療制度は、変化し続ける気候パターンと上昇し続ける平均気温によって新たに生じるニーズに対応していかなければならないのです。

WKCの事業

この分野のWKCの事業は、2009年の世界保健総会で承認された『気候変動と健康に関するWHOの事業計画』、ならびに『災害に強い国・コミュニティの構築:兵庫行動枠組2005~2015』と連携したものです。事業計画はアドボカシー、パートナーシップ、科学的実証、保健医療システムの強化などを多岐にわたります。WKCでは、主に都市部の脆弱性評価と気候変動への適応の分野で研究と政策提言を行っています。都市部の気候と住民の健康の相関性を過去の事例と未来の予測を通じて確立することは、災害に強い街づくりのための第一歩といえるでしょう。

気候と健康の都市における相関性

気候変動と人々の健康との因果関係は、あまりよく理解されていません。気候と疾患との関係が研究されることがあっても、それは各地の現状に応用できないことが多く、このように確固たる証拠がない状態のなか、都市では、気候変動の健康影響に対し独自に評価を行い取り組みを考えていかざるを得ません。個々の都市において、気候変動と健康の相関性についての科学的証拠を見い出し、気候変動によって増加が予想される健康被害の特定を通じて、気候変動に起因する被害(疾病、緊急事態、災害など)に対する都市の備えと回復力を養うことが重要です。

気候変動にともなう都市の健康と脆弱性の評価

都市部には人口、意思決定力、資源、ノウハウが豊富にあります。だからこそ、都市部の政治的指導者や責任者が陣頭に立って、二酸化炭素排出量削減や、もはや避けられない気候変動の影響に対応する必要があります。多くの都市は、いまだ気候変動への備えが十分ではなく、今後の気候変動の進行が健康にもたらす悪影響に適切に対応できる状態ではありません。都市の脆弱性と災害への準備度を評価することにより、政策立案者や主要関係者が気候変動が健康に及ぼすインパクトに効果的かつ公平に取り組むための教訓を見出だすことをねらいとしています。WHO神戸センターでは地域事務局およびカントリー・オフィスと協力し、ブラジル・ベロホリゾンテ、ネパール・カトマンズ、ボリビア・ラパスにおいて研究を行っています。

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