日本における、地域密着型
血圧を下げ脳卒中を予防するための試み

2013年3月:日本

定期的な健康チェックや健康的な生活を送るための健康増進事業など、日本における地域密着型のプログラムは、血圧の上昇や脳卒中の危険を減らすことに貢献しています。

20世紀の大半において、脳卒中は日本における一大死亡原因でした。しかしながら、厚生労働省が脳卒中やがん、心臓疾患が原因の死亡率の統計を取り始めた1960年代以降、脳卒中による死亡は85%も減りました。

脳卒中になる主な原因は血圧の上昇、すなわち高血圧です。脳卒中は、脳への血流に異常が発生して起こります。血液の不足と脳内出血を伴う脳内酸素の不足は、脳細胞を死滅させます。その結果、障害が残ったり、最悪場合は死に至ったりします。
脳卒中の危険は加齢により高まります。しかし、脳卒中は、成人の誰にでも起こる可能性があり、かつ実際に起こっているのです。

日本は、いったいどのようにして脳卒中による死者の減少を成し遂げることができたのでしょうか?

定期的な健康チェック

日本の公衆衛生専門家によると、脳卒中死亡者の減少には様々な要因が絡んでいるといいます。その要因の中には1961年に始まった社会保険制度(皆保険制度)、そして1982年の高齢者への保健サービスの拡充にあります。もうひとつの大きな要因は、政府によって進められている地域密着型の健康増進事業です。

"高血圧や脳卒中の危険が高い人々、40歳以上の人々たちが、地域全域での無料の健康診断や保健教育から恩恵を受けています。"

磯博康教授
大阪大学大学院医学系研究科

大阪大学大学院医学系研究科の磯博康教授は、「我々の研究によると、地域での定期的な健康チェックや看護士及び医師からの健康アドバイスは、高血圧症及び脳卒中の予防と治療に非常に役立っているとの結果が出ています。特に、高血圧や脳卒中の危険が高い人々、40歳以上の人々たちが、地域全域での無料の健康診断や保健教育から恩恵を受けています」、と述べています。

健康な食事と活動的な生活を

日本では、医療従事者やボランティアが中高年の各家庭を訪問し、次の健康診断の告知をしています。また、家庭訪問の際には、すでに高血圧を患う人に対し、医者から処方された薬をちゃんと飲んでいるか確認しています。そして全員に対して、定期的な運動を行うこと、そしてウォーキングをするように促しています。
健康増進事業は成人だけではなく、家族や学校に通っている子ども達、そして食品関係者や自治体の医療関係者に対しても行われています。WHOのガイドラインと規準に基づき、健康でバランスの取れた食事を取る重要性、そして味噌汁や漬物など塩分の濃い食品を減らすことを勧めています。WHOでは、成人に対し一日の塩分摂取量を2グラム減らし、5グラム(小さじ一杯)に抑えるよう推奨しています。

夏の料理教室

茨城県地筑西市教育委員会の上野怜委員長は、「我々のキャンペーンの大事なことは学校の先生やレストランの店主と協力して実施していることです」と述べています。「特に、夏に開催している健康的な料理教室は成果を収めています。参加した子ども達とご両親からは、教室に参加した後料理方法や食事の習慣を変えた、との報告を受けています。」とも述べています。

伸びる寿命

2050年には、日本の全人口は1億2700万人から9700万人に減少する一方で、65歳以上の人口が全人口の39%になると予測されています。脳卒中の減少は、もともと寿命の長い日本において、更に寿命を延ばす結果となっています。今日の日本人の寿命は、女性は86歳まで、男性は80歳近くとなっています。これまでの成功経験を基に、日本政府は肥満と糖尿病の減少に向け、同じく地域密着型のアプローチを取ろうとしています。

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