健康長寿社会をめざした科学的な知見の活用
日本から世界へ発信

WHO神戸センターと国立長寿医療研究センターは、1年間の共同研究「日本におけるユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)と健康な高齢化を推進するための評価、研究、知見の活用に関する研究」を開始する運びとなりました。


急速に進む高齢化を背景に、各自治体ではさまざまな高齢者政策を実施しています。政策に必要な科学的な根拠(エビデンス)を収集するため、多くの調査が実施される一方、調査で得られた知見をいかに施策に反映し活用していくかについては、十分な検討がなされていません。

そこで、今回の共同研究ではWHO神戸センターと国立長寿医療研究センターが、それぞれの自治体の調査で得られた科学的知見を実際の政策へと結びつける先進的な取り組みとしてJAGES(Japan Gerontological Evaluation Study,日本老年学的評価研究)プロジェクト*1に着目し、どのような調査研究が求められ、どのように政策につなげていくことが有効かを詳細に検討していくことになりました。

健康長寿社会をめざした予防政策の科学的な基盤づくりを目的に1999年度に始まったJAGESプロジェクトは、2016年度には、全国39の市町村において65歳以上の高齢者(約20万人)から回答を得るなど、大規模調査を3、4年に一度実施しています。そこから得られた科学的な知見はすでに多くの市町村や国の介護予防政策に反映されています。

本研究では、

  • どのようにJAGESが行政機関と連携しながら、系統的にデータを収集し、大規模調査を実施してきたのかを明文化する。
  • これまでに蓄積されたJAGESの科学的知見を統合的に整理する。
  • 科学的知見をどのように自治体や国の政策に活かしていくのか、フィードバック方法を示す。
    具体的には、各自治体で得られたエビデンスを「見える化」するツールJAGES HEART(Health Equity Assessment and Response Tool健康の公平性評価と対応ツール)の活用方法など。
  • 神戸市、松戸市(千葉県)、武豊町(愛知県)など、これまでにJAGES調査に参加し、調査から得られた知見が活用されている自治体への聞き取り調査を実施。

本研究を通じて、高齢社会に対応した調査手法や科学的な知見の活用方法を世界に発信することによって、高齢化の進む各国の健康増進に寄与することが期待されます。なお、本研究の結果は2018年5月以降、発表される予定です。

リサーチ主導施設:
国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター 

    • 主導研究員:国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター
      老年学評価研究部長  近藤克則教授(千葉大学予防医学センター教授)
    • 浜松医科大学 健康社会医学講座 尾島 俊之 教授
    • 東京大学大学院医学系研究科准教授(保健社会行動学分野、健康教育・社会学分野主任)近藤 尚己 准教授
    • 東北大学大学院歯学研究科・歯学部 相田 潤 准教授
    • 日本福祉大学社会福祉学部 斉藤 雅茂 准教授
    • WHO神戸センター ローゼンバーグ 恵美 テクニカルオフィサー